落合徳子のつくりかた 「サードプレイスとしての音楽 3」

姉のピアノのお話です
amirisu株式会社 2021.12.03
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今回は、私の年子の姉のお話です。妹にクラシックギターをやる権利を取られ、小学2年生から姉は本格的にピアノを習うことになったのですが、小学生の頃からコンクールも受けていましたし、夏休みには東京の音楽大学の夏期講習に行ったりと親、姉双方に頑張っていたと思います。田舎から東京の音大に行かせるのは、お金の面でももちろん大変ですが、それよりコネがないのが辛かったはず。インターネットも無い時代に一体どうやって情報を得ていたかは知りませんが、県内で似たような境遇の子供は他にもいたようで、お互いに情報交換していたのでしょう。そこで培ったコネを元に色々な先生を紹介してもらい、無事に国立音大に行き、パリに留学し、パリで仕事もし、一応ピアノで食べていけるぐらいのスキルと経歴が手に入りました。姉は当時、平日は最低3時間、長期休暇の時は1日8時間から10時間もピアノを弾いていましたが、弦楽器やピアノはプロになろうと思うと、長年に渡ってその練習が必要なんですよね。姉はとても面白い人でここでエッセーが何本も書けるぐらいの逸材なのですが、私はあの練習を乗り切ってきた姉を今でも尊敬していますし、もしかすると甥っ子があれをやるかと思うと、胸が痛い気持ちのおばさんです。

このように小学生の頃から親子でプロになるべく頑張っている姿を見守っている私は、クラシック音楽を生業にしないことを中学生の時から決めていました。あんな過酷な練習は強制されてもできそうになかったからです。いや、無理ですって。毎日15分やるのでも、嫌々だったわけですから。

余談ですが、姉のピアノを聞き、さらに私自身もギターのチューニングを音叉一本でやる作業をやっていたためか、知らない間に絶対音感がついてしまいました。通常はトレーニングみたいなものをして付くのだと思うのですが、なんせ勝手についたせいで、自分に絶対音感があるとは知らないまま大人になった私。それがわかるのが、大学1年生の木管楽器のセクション練習の時でした。

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